Ⅰ類Bは「資料から課題を選び、都の取組を書く」
複数資料の共通点から重要な課題を一つ選び、設問(1)で200字程度に整理します。設問(2)では、その課題に対して東京都が進めるべき取組を論じます。
過去11年11問の出題分野
ここではⅠ類B一般方式の公表問題だけを集計しています。別の採用区分で同形式の問題が出ても加えていません。
| 分野 | 件数 | 該当年度 |
|---|---|---|
| 産業・雇用 | 3 | 令和6・3・元年度 |
| 男女平等・共生 | 1 | 令和8年度 |
| 観光 | 1 | 令和7年度 |
| 行政広報 | 1 | 令和5年度 |
| 防災 | 1 | 令和4年度 |
| 高齢・福祉 | 1 | 令和2年度 |
| 地域参加 | 1 | 平成30年度 |
| 環境 | 1 | 平成29年度 |
| 都市基盤・交通 | 1 | 平成28年度 |
令和9年度の出題分野予想
過去問では、社会状況や政策が大きく動いた分野が、東京都の行政課題として出題されてきました。過去に「どのような変化から、どのような問題が出たか」を確認した上で、現在の社会状況と政策強化から次期問題の候補を整理します。
過去:どんな変化が、どんな問題になったか
「出題の理由」が公表されているわけではありません。以下は、問題文と同時期の公式計画・事業の重なりを整理したものです。
都市基盤・交通同時期の社会・政策の動き訪日外国人が増え、東京2020に向けて交通案内の多言語化と移動経路のバリアフリー化が進みました。多言語対応協議会やアクセシビリティ施策が具体化した時期です。実際の出題高齢者、障害者、外国人を含め、誰もが安心して快適に利用できる交通を問いました。大会そのものは問題文に出ておらず、背景との重なりにとどまります。
環境同時期の社会・政策の動き気候変動対策と持続可能な都市づくりが国際的な課題となり、都も東京2020を契機とする環境負荷の低減と持続可能性向上を進めていました。実際の出題環境配慮の行動や都市の取組を資料から読み、東京を環境先進都市にする課題を問いました。平成28年度と同じく、問題文は大会に直接結び付けていません。
地域参加同時期の社会・政策の動き東京2020の開催が迫り、都市ボランティアの募集や、大会後にも参加文化を残す取組が本格化しました。実際の出題東京2020大会の成功に向け、ボランティア参加をどう促すかを直接問いました。ここは社会・政策の動きと問題文の結び付きが明示されています。
産業・雇用/高齢・福祉同時期の社会・政策の動き中小企業ではICT導入と生産性向上、長寿化の下では高齢者の社会参加と地域生活が課題でした。さらに令和3年度は、コロナ禍で休業・失業が広がり、都が雇用の創出・安定化を緊急課題に位置付けた時期です。実際の出題令和元年度は中小企業支援、令和2年度は高齢者の安心と生きがい、令和3年度は誰もが働き続けられる東京を問いました。デジタル化、人口構造、感染症という変化が、産業・生活の持続性の問題として表れています。
防災/行政広報同時期の社会・政策の動き令和4年には首都直下地震等の被害想定が10年ぶりに見直され、令和5年には都が「伝える広報」から「伝わる広報」への転換を政策として具体化しました。実際の出題令和4年度は地震から命・財産と社会経済活動を守ること、令和5年度は正しい情報をタイムリーに届けることを問いました。直前・同時期の政策更新が、ほぼ同じ論点で出題されています。
産業/観光/共生同時期の社会・政策の動き都は令和4年にスタートアップ戦略を策定し、都市課題解決との協働を拡大しました。令和6年には訪日客の回復を踏まえた観光実行プランを開始し、男女平等についても参画・働き方・意思決定の格差是正を継続しています。実際の出題令和6年度は都市課題を解くスタートアップ、令和7年度は何度でも訪れたくなる東京、令和8年度は性別にとらわれず活躍できる社会を問いました。政策が実行段階へ進んだ分野が、都民や企業の行動変化を問う形で現れています。
現在の社会状況と東京都の政策方向
過去問では、社会状況が大きく変化し、東京都が計画や事業を強化した分野が論文課題になってきました。ここでは、現在の社会状況と、2050東京戦略、令和9年度に向けた政策の推進などが示す政策方向を重ね、次期問題の候補を絞ります。
令和9年度に準備したい3つの出題分野
人手不足下のAI・DXと人材育成
サービスと産業を持続可能にする生産年齢人口が減少する一方、生成AIの利用が急速に広がっています。東京都がAXと人材育成を進める現在、AI導入だけでなく、業務再設計、リスキリング、導入格差、個人情報、デジタルを利用しにくい人への保障までを組み合わせる問題が候補になります。
猛暑下の体験・健康・暮らし
気候適応を、都民の日常まで実装する猛暑や豪雨が健康、住宅、冷房費、移動、子供の体験に及ぼす影響が広がっています。脱炭素や防災にとどまらず、子供、高齢者、低所得世帯を取り残さない住まい・公共空間・情報・地域支援を問う問題が候補になります。
子供・若者の心の健康と居場所
学校・地域・オンラインを切れ目なくつなぐこれは少子化一般から導いた予想ではありません。子供政策強化の方針2026が、思春期の心の健康、若者の自殺、学校・家庭以外の居場所を具体的な課題とし、見守り、自殺予防教育、地域の居場所、担い手育成を強化していることが直接の根拠です。子供本人の声とデータから、学校・地域・オンラインの支援をどうつなぐかを問う問題が候補になります。
「人口減少とAI」「猛暑への適応」「子供・若者の心の健康」を東京都Ⅰ類B形式の予想問題として追加しました。ログイン後、プランに加入すると問題全文・資料・AI添削を利用できます。
※出題を断定するものではありません。過去問の構成と、東京都が公表した2050東京戦略、令和9年度に向けた政策の推進、2026年度の注目事業を対応させた当サイトの分析です。
公式計画は、課題を選んだ後に使う
東京都らしい対策を書くために、計画名を暗記する必要はありません。資料から課題を選んだ後、「都は何を原因と捉えているか」「誰を支援するのか」「どの主体と、どの手段で取り組むのか」を公式計画で確認します。
Ⅰ類Aは「都の現行施策への言及」が重要
資料から課題を定義する点はⅠ類Bと共通ですが、設問(2)では都の現行施策に言及した上で、行政が進めるべき取組を書きます。施策名の暗記ではなく、施策が対応する原因と、なお残る課題を把握することが重要です。
過去11問の出題頻度
| 順位 | 分野 | 件数 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 1 | 観光・文化 | 3 | 27.3% |
| 2 | 高齢・福祉 | 2 | 18.2% |
| 3 | 防災 | 1 | 9.1% |
| 3 | 子育て | 1 | 9.1% |
| 3 | 環境 | 1 | 9.1% |
| 3 | 産業・雇用 | 1 | 9.1% |
| 3 | 教育・人材 | 1 | 9.1% |
| 3 | 多様性・共生 | 1 | 9.1% |
観光・文化と高齢・福祉で45.5%を占めます。この2分野を軸にしながら、新しい都の計画で重点化された分野を加えます。
現行施策を踏まえて「残る不足」を問えるテーマを探す
Ⅰ類Aの過去問は、政策の重点化だけで選ばれていません。社会変化を示す4点前後の資料があり、すでに都の施策がある一方で、利用、担い手、連携などに不足が残る分野が選ばれています。
過去問では、政策の次の課題が問われた
現在、施策と残る不足を同時に示せる候補
思春期の心の健康と居場所
子供本人の声から施策の不足を考える子供政策強化の方針2026は、学年別の心の健康、若者の自殺、地域の居場所に関する回答、中高生の声を掲載しています。現行施策としてデジタルプログラム、自殺予防教育、外部人材、地域の中高生の居場所、担い手育成が示されているため、「施策はあるが学校・地域・オンラインが切れ目なくつながっていない」という不足を論じられます。
若者の将来設計と住宅・教育・時間
結婚・子育ての希望を阻む複合負担結婚・子育て支援策の論点整理2026は、最新データと意識調査から来年度政策の課題を整理しています。出題する場合は令和6年度の育児休業中心ではなく、家賃・住宅取得費、教育費、就労・職場環境、支援がライフステージごとに分断される問題を組み合わせる形が考えられます。
猛暑・豪雨への気候適応
要配慮者を取り残さない生活環境過去の環境問題は循環経済、過去の防災問題は地震でした。次に問うなら、災害級の暑さ、熱中症、住宅性能、内水氾濫を、子供、高齢者、低所得世帯などの生活上の影響と結び付ける形です。都の助成や基盤整備があっても、賃貸住宅への普及、費用負担、地域差、支援情報の到達に不足が残るため、現行施策の改善を書けます。
※出題を断定するものではありません。過去問の構成と、東京都が公表した2050東京戦略、令和9年度に向けた政策の推進、子供政策連携室の強化方針等を対応させた当サイトの分析です。
現行施策と残る不足まで書いてみる
Ⅰ類Aでは、テーマを知るだけでなく、都がすでに何を行い、なぜなお不足が残るかを答案へつなげます。
思春期の子供が安心して過ごせる東京へ
- 別添の資料から、思春期の子供・若者が心身の健康を保ち、安心できる居場所を持ちながら成長できる社会を実現するために、あなたが重要であると考える課題を200字程度で簡潔に述べよ。
- (1)で述べた課題に対して、都を含む行政は具体的にどのような取組を進めるべきか、都の現行施策に言及した上で、あなたの考えを述べよ。
施策名の羅列で終わらず、利用しにくさ、連携不足、担い手不足から改善策へつながっているかを確認します。
Ⅰ類Aは「現行施策が対応する原因」と「なお残る不足」を書く
施策名の暗記だけでは、自分の提案につながりません。公式計画から、都が何を課題と捉え、誰へ、どの主体と、どの方向で取り組んでいるかを確認し、現行施策があっても残る原因を改善策へつなげます。
資料は「増減・ギャップ・格差」で読む
Aが増えている/減っている。社会環境や行動の変化を探します。
希望と実態、目標と現状に差がある。職場・地域・制度の障壁を考えます。
地域・年代・企業規模などで差がある。支援が届かない対象を特定します。
原因は3方向へ分ける
- 意識:当事者に情報、知識、時間、余裕がない
- 担い手:企業や地域団体に人手、資金、ノウハウがない
- 仕組み:制度、データ、連携、基盤が足りない
90分の時間配分
課題、原因、取組2本を決める
主語を東京都にし、対象と手段を書く
設問漏れ、因果、字数を確認する
よくある失点
- 資料の説明だけで終わる:数値の先にある課題と弊害まで示します。
- 周知・啓発だけを並べる:意識、担い手、仕組みに対応する異なる手段を組み合わせます。
- 国の手段を都の取組として書く:広域調整、区市町村支援、基盤整備、実証、民間連携へ置き換えます。
- Ⅰ類Aで現行施策が薄い:現行施策を前提に、不足を補う改善策を書きます。